i486DX4/Am5x86(Am486DX5)用ゲタの制作


1 まえがき

 486DX4→Am5x86または486SX/ DX/ DX2 → 486DX4/ Am5x86に載せ換えるためのゲタ(i486DX4単独でも動作可能)です。486マシン全盛の頃はゲタも結構いい値段だったので、自分のマシンにAm5x86を載せるために作ってみました。
※特に注釈をつけない限りはAm5x86とAm486DX5は同一のものを示す。また、i486DX4もしくは486DX4にはAm486DX4を含む。


2 説明

 そもそも、製作を思い立ったのはゲタの主要構成部品である「PGAソケット」が格安で入手できたことによります。いまでこそ、486マシンはザコ扱い(^^;)されているので486用ゲタも格安価格で流通していますが、一昔前は結構いい値段で販売されていたものです。ところが、このゲタの中でもっとも入手しにくいPGAソケットが手に入ったので、「これはいっちょ作ってみんべぇ」ということで、チャレンジしたのでした。


3 倍率変換用ゲタの製作

 まずは、簡単に作ることのできる486DX4→Am5x86用ゲタです。これは、そのまま載せ換えてしまうとAm5x86が486DX4と同じ3倍速動作しかしないので、CLKMUL(R17)の制御をしてやることによって、4倍速動作を行わせるものです。

倍率変換ゲタ

 実は、Am5x86は486DX4とピン互換になるように設計されているので、Am5x86特有の機能は486DX4ではNC(CPU内でどこにもつながっていない)ピンに割り振られています。そして、NCピンはマザーボード側ではどこにもつながないことになっている(データシートに記述有り)ので、信号としては浮いていることになります。そして、R17ピンも486ではNCとなっているピンですので、非対応のマザーボードでは処理がされません。この場合、CPU内部でプルアップが行われているため、Hレベルに固定され3倍速動作をします。そこで、ゲタをかましてやりゲタ側でR17ピンを強制的にGNDに接続しLレベルに固定することにより、4倍速動作を実現します。

 したがって、マザーボード側でR17ピンのH/Lレベル変更用スイッチ(あるいはジャンパ)が装備されている場合は、当然このゲタは不要ですし、CPUのピンに直接はんだ付けしてしまっても同じことですのでゲタは不要です。ただ、マザーボード側のジャンパが不明な場合とかもありますし、ましてやCPUに直接はんだ付けするなんていうのは私でもあまりやりたくないことですので、できれば避けたいところです。

 このような機能を実現するためのゲタですから、構造は実にシンプル。ソケットとR17ピンとP17ピン(VSS)を結ぶスイッチだけです。なお、3.45V動作のAm5x86であっても486DX4との置き換えは可能です。というのも、動作電圧は3.45V±0.15Vとなっていますので、メーカーの設定する電圧の範囲内に入っているからです。ただし範囲内の下限での動作になりますので、クロックアップ等を行った場合には、動作に異常が出ることが考えられます。


4 倍率設定機能付き電圧変換ゲタの製作

 続いて製作したのが、486SX/ DX/ DX2 → 486DX4/ Am5x86に載せ換えるためのゲタです。これこそが、私が所有している486DX2用マザーボードにAm5x86を載せるという真の目的(笑)達成のために作ったものです。

電圧変換ゲタ1

 構造としては、PGAソケットを2段重ねにし、下側のソケットから+5Vを取り出し、電圧変換部を通った後、上側ソケットからCPUに+3.3Vを供給するという形になります。電圧変換部にはLM350Tを使ったシリーズレギュレータを採用しました。普通、486用ゲタの場合スイッチングレギュレータを使用してゲタの中に電圧変換部を組み込んでしまうのですが、私にその技術がない(^^;)ことと、部品の入手の関係で外付けシリーズレギュレータとしました。そのため、CPUソケット周囲の部品が障害物となってしまいつけられないこともあり得ます。

 電圧変換部の回路は以下のとおりです。

電圧変換回路図

 この回路では電圧を半固定抵抗で設定するようにしていますが、後期モデルでは100オームの固定抵抗と100オームの半固定抵抗の組み合わせとしています。これは、調整範囲を狭めるのと、半固定抵抗の経年変化を抑えるためです。

 ところで、実はこの回路には大きな欠点があります。それは、LM350Tは入出力電圧差が2V必要だということです。そのため、定格上ではCPUへの供給電圧は3Vとなってしまうのです。ただ、これは定格ですので、実際に動作させると3.2V程度までは出力してくれます。ということで、このゲタでは定格供給電圧は3.2Vとしています。実測では3.0〜3.25Vといったところでしょうか…

電圧変換ゲタ2
動作試験中の電圧変換ゲタ 白いのは動作電圧測定用のプローブ

 電圧はちょっと低めでも、私が所有しているAm5x86ADZは150MHzまで動作しています。たぶん3.45V動作の大部分のCPUは3.2Vでも動作するものと思われます。12時間耐久連続動作試験もクリア(140MHz動作時)しているので、まぁ落ちることはないでしょう。

なお、参考までに各CPUの動作電圧一覧を掲載しておきます。
CPU型番(PGA only) 動作電圧
intel i486SX/SX2/DX/DX2 5V
intel i486DX4
AMD Am486DX4
3.3V
AMD Am5x86(ADZ)
Am486DX5(W16BGC)
3.45V
AMD Am5x86(AFZ)
Am486DX5(V16BGC)
3.3V




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